奥さまCDです

ブックオフなどで買ったCDを紹介するブログ。

米川英之 - 同窓会(1993)

f:id:hangingonyalta:20200214032503j:plain

アーティスト:米川英之

タイトル:同窓会

発売年:1993年

レーベル:バップ

 

1.同窓会 作詞:井沢満 / 作曲:米川英之 / 編曲:難波弘之米川英之
2.君の空 僕の海 作詞:加藤健 / 作曲:米川英之 / 編曲:難波弘之米川英之

 

C-C-Bのギタリスト・米川英之が、同バンド解散後にソロとしてリリースした2ndシングル。

NTV系ドラマ「同窓会」”タイトルソング”(写真参照)。

表題曲とカップリング曲いずれも、米川の2ndアルバム「HALF TONE SMILE」(1994年)に収録された。

なお、表題曲の原曲は「想い出にかわる季節」といい、4thアルバム「INTO THE LIGHT」(2000年)に収録されている。

 

1はピアノとストリングスメインのバラード。いかにも平成初頭の連ドラ主題歌然としたアレンジで退屈以外の何物でもないのだが、転調のドラマチックさとギターソロにはハッとさせられる。

2はいわゆるシティポップの系譜というか昨今話題のライトメロウの範疇の楽曲と思われ、非常に掘り出し物感があった。

個人的には、こういう古き良きバブル感(あるいはFM感と言っても良い)のあるサウンドを「アーバン」と呼んで愛でてきたのだが、歴代発掘してきたアーバン楽曲の中でも特に好きな曲であった。

というのも、米川英之AOR志向ながら80年代HR/HMも通過した方で、ギターソロになると俄然張り切ってくれるところがHR/HM者にとって非常に親しみやすかったからだ。

私はAORやシティポップに造詣が深いわけではないが、この手のジャンルの楽曲でこうもハーモニクスを多用するギタリストってあまり居ないのではないか。

改めて聴き直してみると、C-C-B時代からポップな楽曲にあって米川のギターだけが妙にザクザクギャンギャンしてたりして、状況証拠は揃っていたのだなあと得心させられる。

 

ところで、ジャケットに記載されている通り、表題曲は「同窓会」というドラマの”タイトルソング”であるが、実際の扱いはあくまで挿入歌であった。

ドラマと同タイトルの曲名であるばかりか、本ドラマの脚本家である井沢満が作詞しており、ここまでお膳立てが揃っていながらなぜこの曲が主題歌ではないのか、なぜ挿入歌扱いなのかが不思議であった。

 

察するに、同曲が主題歌に内定していたにも関わらず、大人の事情で別の曲が主題歌に選ばれてしまい、挿入歌に降格となった米川への謝罪ないし贖罪の意味から「タイトルソング」という名前を冠したのではないか。

この点、井沢満本人のブログに答えがあった。

「同窓会」の時、局と約束していたことが一つあって、
それは私に主題歌の作詞をさせてくれ、ということであった。
ところが、プロデューサーのお一人が(局と局付随の制作会社お二人いらした)
「いい新人グループがいて、ちょっと曲を作らせてみたので
聴いていただけませんか」と言う。
約束違反なので、私はむっとするわけである。
するとプロデューサーは「一晩で作って徹夜で録音してくれたんです」
と畳みかけて来る。
まあいいや、じゃあ聴くだけ聴いて「こんなもん、だめでしょ」と
いうセリフを喉元で用意して、テープを聴いた。

・・・・これ、反対は出来ないなが、1回聴いた感想であった。
即座に「いいです。これで主題歌行きましょう」と返答していた。

https://blog.goo.ne.jp/mannizawa/e/b57ba0cf43e8f77316704a639cb08d61

 

「同窓会」の主題歌は私が作詞をする約束だったので、(中略)
いわば約束違反だったので、彼らのデモテープを聴いて平均値だったら、拒否する構えだったのですが(中略)

聞いた瞬間、この才能をつぶすのはいけない、と思い、どうぞお使いください、と返事したのでした。

https://blog.goo.ne.jp/mannizawa/e/e6debd222e0fd5fc5743e025736ec867

レーベルをVAPに移籍し、ソロとして正にこれからというときにドラマの主題歌を射止めたかに見えた米川。しかも、歌詞の差し替えにまで応じて。

他方で、米川を押しのけた若手アーティストは、この主題歌で自身初のチャートトップ10入りを果たし、そればかりか自身初のミリオンまで達成することになる。

この「同窓会」というドラマ自体、プライムタイムで初めて同性愛を扱ったドラマということで当時非常に話題を呼んだのだが(平均視聴率17%、最高視聴率20%!)、そんな人気ドラマの存在を遥かに凌駕するほどこの主題歌は人気を博し、時代を代表する曲となった。

 

その主題歌とは、 Mr.ChildrenCROSS ROAD」。

文字通り、二組のアーティストの運命の交差点となったのであった。

 

なお、この「同窓会」というドラマは非常に論点が多い代物なのだが、米川の歌詞(というか脚本家本人のペンによる歌詞)も、第一回放送分の台本だけ読んで書かれたというミスチルの歌詞も、いずれもドラマのえげつない展開に対して全く乖離していて大変驚かさせる。そんな爽やか切ない話では全くないから!好事家はぜひ、ドラマも観てほしい。